メディア総合研究所  

メディア総合研究所は、1994年に日本民間放送労働組合連合会(民放労連)が設立しました。研究者・労働者・ジャーナリストがボランティアで、市民の立場からメディアを調査・研究・考察する民間の研究組織です。メディア総合研究所は次の3つの活動の柱を掲げています。

〇国際人権
 国際的視点に立つと、日本は人々の人権が守られている国とは言えません。国際人権という視点からメディア研究とシンポジウム開催等の活動を進めます。
〇表現の自由
 民主主義社会にとって重要な人権の一つに表現の自由があります。政府や政治によるメディアへの圧力に対して、『放送レポート』での特集記事や声明、シンポジウム等を通じて異議を唱えてきました。
また、大手メディアでは伝えられることの少ない「表現の自由」についても考えています。「表現の不自由展」もその一つで、各地での開催をサポート。国民の知る権利に資する研究を進めています。
〇ジェンダー
 日本社会のあらゆるところでいまだに性別役割分業意識が根付いており、メディア産業も例外ではありません。多様な報道のあり方を考えるために、メディア組織のジェンダーバランスや、報道内容を批判的に考察します。
Media Research Institute
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〒130-0026
東京都墨田区両国3-21-14
両国有泉ビル3階
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Fax: 03-6659-9673
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声明・アピール

《放送による権利侵害救済委員会(仮称)》設置についての緊急提言

1997年02月27日
メディア総合研究所


 この提言は、放送による権利侵害を救済するための第三者機関を、放送界と視聴者・市民の共同で設置することを目指すものです。

1997年2月27日
メディア総合研究所

 放送による市民の権利・利益の侵害を迅速かつ有効に救済し、放送に対する市民のアクセスを拡充していくことは、今日、私たちの社会が緊急に対応することが求められる重要な課題の―つである。 
 しかし、多チャンネル懇「最終報告」が示した「苦情対応機関」設置の提案には、法定機関の導入を視野に入れたり、番組内容全般への苦情を対象にするなど国家的な規制強化の危険がある。他方、あくまでも「放送事業者の判断に委ねるべきだ」と主張する放送業界の対応では、視聴者・市民の参画の視点が希薄で、視聴者・市民の信頼に応える公正で実効のある権利救済を提供することにはなりにくい。 
 私たちは、こうした方向はいずれも適切でないと考え、放送界と視聴者・市民の自律的共同機関として「放送による権利侵害救済委員会」(仮称)の設置を提案する。 
  
(1) 委員会は、より緊急の課題である放送による市民の権利・利益の侵害を迅速かつ有効に救済することを任務とする機関である。委員会は、単なる放送業界内の自律機構ではなく、放送界と視聴者・市民が共同で設置する機関である。 
(2) 市民社会に多様で豊かな情報を提供し、市民の知る権利に応えるという放送の基本的役割を果たすためには、放送の自由が不可欠である。委員会は、こうした放送の自由確保ヘ最大限の配慮を払いつつ、市民の権利・利益の侵害の迅速で有効な救済を目指す。 
(3) こうした機構設置の重要な条件として、郵政省が放送行政を一手に掌握する現行の制度を根本的に改革し、独立行政委員会的な規制・監督機関を設置して放送行政をそこに移すことが必要となる。しかし、こうした改革を直ちに実現するのは困難である。 
 そこで、現行制度を前提とした権利救済機関を構想せざるをえないとすれば、郵政省の直接的な監督や影響を可能な限り回避しうるシステムを構築することが求められる。委員会は、こうした現実的考慮を踏まえた機関である。 
  
(1)(制度の基本イメージ) 
 市民参加の自律的な放送の権利侵害救済機関 
 *現行の訂正放送制度は当面維持し、この新しい委員会制度と併存させる。

(2)(設置形態)
 委員会は、放送界と視聴者・市民(専門家・有識者、視聴者団体等関係団体など)が放送を調整し規律をはかる仕組みとして市民社会に共同で設置する自主規制機関とする。委員会は、その設置・活動等につき、郵政省などの行政機関や国会などからの公的な規制・監督は―切受けない。
 *実際上は、放送界の呼びかけに応じて、個入、団体等が参画し、市民社会の自律的なメカニズムとして、委員会機構を構築する形をとる。
 *放送事業者は、委員会機構発足に際し、委員会のメカニズムを遵守することを誓約(契約)することとする。
 *財源は主として放送界が負担する。
 *委員会の業務を適正かつ円滑に遂行するために、十分な数の専任スタッフを含む事務局を委員会に置く。

(3)(構成メンバー)
 委員会は、放送界を代表するメンバーと視聴者・市民を代表するメンバーとから成り、委員長は放送界の外部の者から選ぶこととする。
 *メンバーの選任は放送界関係者と外部の者から成る選任委員会によって行う。委員の選任にあたっては、性別などバランスがとれるよう配慮する。
 *放送界メンバーには、事業者を代表する者だけでなく、記者・制作者、出演者、労働組合関係者も不可欠のメンバーとして含めることとし、外部メンバーは、専門家・有識者、視聴者・市民団体関係者などをはじめ、在日外国人を含む社会の多様な層を代表する者によって構成することとする。
 *委員は、団体をバックグラウンドとしている場合であっても、団体の利害代表者としてではなく、個人として行動することとする。

(4)(職務と手続き)
 委員会は、当面は、緊急の課題である名誉やプライバシーなど市民の権利侵害の問題を中心にし、事実の誤りや個人への一方的な非難・攻撃なども含め、侵害された市民の権利・利益を救済することを職務とする。
 委員会は、市民からの救済申し立てを受け付けると、事案を調査・審理のうえ裁定を下すとともに適切な救済措置をとることとする。
 委員会は、重大な事案については苦情の申し立てを受けることなく自ら事案を調査・審理のうえ、裁定を下し、救済措置をとることができる。
 委員会は、当事者の申し立てによりヒヤリングの手続きも行うことができる。
 *委員会の判断基準となる実施綱領(「放送による権利侵害救済に関する綱領」(仮称))の策定を、放送界関係者と外部の関係者(専門家等)の共同作業で進める必要がある。
 *事務局スタッフは、委員会の下、事案について調査を行う権限を有する。
 *委員会は、事案の正式な調査・審理に先立ち、申し立て人と放送事業者の調停に努めることとする。
 *救済の申し立ては、当面、課題の緊急性に鑑み、個人に限ることとし、団体からの申し立ては受け付けないものとする。

(5)(救済措置)
 委員会は、次の二つの救済措置をとることができる。
 委員会は、裁定内容を公表するとともに、申し立てを認める裁定が下された放送事業者に対して、当該裁定を放送することを求める。
 委員会は、必要と考える場合、関係放送事業者に対し、訂正放送を求め、また反論放送の機会を提供するよう勧告することができる。
 *放送事業者は、裁定もしくは訂正の放送を求められた場合は、これに応じなければならない。また、反論放送の機会を提供するよう勧告された場合には、これに従うよう努力しなければならない。